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10年間女子高育ちの筆者が『17歳の塔』を読んだら共感しかなかった【レビュー/ネタバレあり】

鏡のついた水槽に泳ぐ金魚

こんにちは、りょん(@ryon_lynwood)です。

最近契約したU-NEXTで、面白そうな漫画『17歳の塔』が宣伝されていたので、せっかくと思って読んでみました!

『17歳の塔』は藤沢もやしさん著で、中高一貫の女子高で繰り広げられる生徒たちの群像劇を描いた作品です。

10話のストーリーで構成された物語は女子高生のスクールカーストに焦点を当て、日々目まぐるしく移り変わる生徒間の情勢の変化を敏感に感じながら生き抜こうとする様を、各グループや個人の視点から丁寧に描いたスクールストーリーです。

舞台は女子高ではありますが、中高生の女生徒であれば、少なからず共感できる部分があると思います。

当記事では、『17歳の塔』を読んだ筆者がメインキャラクターである高瀬理亜と小田島美優に焦点を当ててそれぞれに対する考察と、物語全編を通しての所感を述べます。

そのうえで、これから同作品を読んでみよう、と思われる方へ向けて楽しみ方も提案できたらと思っています。

※ネタバレを含みますので、気になる方はお気を付けください。

✔筆者はこんな人物
  • 中高大と、10年間女子高に通っていた(中高は一貫校)
  • 中高では冴えない見た目でガリ勉キャラだった

スクールカーストの女王、高瀬理亜

容姿端麗な理亜は、みんなから「仲良くしたい」と思われる女の子で、彼女自身もそれをよく自覚しています。

その容姿で、スクールカーストのトップに君臨し、周りに影響力を持っています。

だから、彼女に反対する者は現れないし、彼女自身もこれまで「自分より下」の者に対して
冷たい態度をとってきました。

でも、彼女に媚びへつらっていたはずの小田島の逆襲により、理亜はカーストトップの座の喪失はおろか、これまで見下してきた周りの者や仲良くしていた友人たちからも蔑まれることになります。

私は、高瀬理亜というキャラクターにとってのこの出来事は、大きな挫折と意識の改革を与えたと思います。

1つは、これまで感じていた優越感は本当の自分の安らぎではなかったということ。

気の合う仲間に囲まれ、周囲が自分の言うことを聞いてくれる世界は居心地がよかったけれど、かつてバカにしてきたクラスメイトに救われる形になった理亜には、本音で話せる「本当の友人」が必要だったのではないでしょうか。

「本当の友人」になるためには、誰が上とか、誰が下とか、そういった上下関係の概念を捨ててフラットな目線で相手と向き合う必要があります。

かつての彼女であれば、また自分がカーストトップに躍り出ることで津田茜を切り捨てたりしていたでしょうが、彼女はその後も津田たちの漫画の集いに顔を出していました。

それは決して恩義のためではないんだと思います。津田とLINEを交換したのは、理亜にとって彼女が心安らげる「友人」と認識できたからでしょう。

同様に、自分を裏切り続けてきた沢田茉夏も、結局は息の合う友人なのでしょう。

自分を裏切った相手を許したくない気持ちを抱えつつも、なんだかんだで一緒にいて楽しく、自分といるのが一番楽しいと言ってくれる茉夏とは「友人」であり続けるのでしょう。

もう1つは、自分が他者にしてきたことを認め、他者を許し、この経験がいつか眩しい思い出として昇華されると信じて前に進むこと。

彼女は、このストーリーの被害者でありながら、加害者でもありました。

これまでトップの座にいることをいいことに、「下」と定義した者たちに冷たい仕打ちをしてきたのです。

今回の挫折から、彼女はこれまで自分がしてきたことを振り返ることができたと思います。

理亜はこのスクールカーストの中で優越感を享受してきました。と同時に、その下で必死にもがき苦しむ人が多くいることを、身をもって知ったはずです。

彼女がその後茉夏や小田島を受け入れ、対等に話すようになる理由は、他者の苦しみを知り、自分の咎を認めて裏切った友たちを許そうと思えたからなのかと思います。

理亜にとっては苦い思い出だとは思いますが、彼女はこの苦しかった出来事もいつかキラキラした思い出になり、同窓会で笑い合える日がくるのかも、と語ります。

理亜は自分がしてきたこともされたこともありのままに受け入れて、自分がより良く生きるために出来事をポジティブに捉えているんだと思います。

そんなふうに前向きに捉えながら、前へ進むタイプの子なのだろうと、私は考えます。

下剋上の女、小田島美優

小田島は元々あまり目立たない印象の生徒でしたが、高瀬理亜に憧れていました。

彼女にくっついてパシりのような役目を買って出たことから理亜との関係が始まります。

小田島は決して”イケてるメンバー”として理亜の近くにいたわけではありませんでしたが、
その人好きのする性格から理亜にも気に入られてまわりとも良好な関係を築いていました。

でも、彼女はいつも理亜にこきつかわれていることや、自分の行動を制限しようとしてくる理亜の態度に不満を感じ始めます。

2人は些細なことでケンカをしてしまい、それ以降小田島は一人でお弁当を食べ、学校にも来なくなります。

ところが、唐突に学校に姿を現した小田島は、イケメンの彼氏(本当は嘘)を連れていて、
クラスメイトから脚光を浴びます。

気にくわない理亜は小田島にいちゃもんをつけますが、小田島は理路整然と理亜の弱みを指摘します。

取っ組み合いのけんかになった二人は、先生が仲裁に入りましたが小田島の流血によって終止符が打たれます。

周囲の目には「ケガまでさせられた、可哀想な小田島ちゃん」として小田島が完全な被害者と認識され、それ以降小田島は理亜をカーストの下へと突き落とし、自分がトップの座に躍り出ます。

そこから、これまで理亜に不満を抱きながらも付き合ってきたまわりの友人たちがみな小田島に靡き、理亜から離れていってしまうのです。

小田島は、その後別のクラスメイトの君臨によってまた立場を失くしてしまうのですが、それでも確かに、自身で起こした行動によって見える世界を広げたといえます。

カーストトップになったことで、自分の意見が通りやすくなったしこれまで関わらなかったような人とも友達になれた。

みんなが自分をよいしょしてくれる、そんな世界を自分の手でつかみ取った小田島はとてもすごいと思います。

ただおとなしくやり過ごすこともできたでしょうし、ずっと自分を押し殺して理亜にくっついていることもできたはずです。

理亜を利用するような形になってしまってはいますが、それはある意味成り行きであり、
小田島が新しい世界を見るために常に現状を改革してきたことはとても評価できると感じます。

同時に、彼女はまたスクールカーストから転落することで、カースト社会の無意味さも感じたと思います。

しかし、その構造が変えられない以上、そこで生き残るための行動をとるしかないと考えていたのでしょう。

彼女はいつでも挑戦と変化によって前へ進もうとしていたのだなと思います。

ゆえに、理亜と卒業生を見つめる最後のシーンで、これまでしてきた自分の良いことも悪いことも「嫌な思い出」として刻み、「私は必死で頑張ってたんだって そう思っていられる自分でありたい」と話しています。

10話読み終えての感想

まず、この作品の1話を読んだ時点で、私はものすごく共感を覚えてしまいました。
その後のお話もそれぞれ共感できる部分が多々あり、わかりみがすごいの一言に尽きます。

絶妙な心理描写

クラスという小さな社会の中には様々なグループが存在していて、そのグループは時に分裂し、時に再編され、時に合併します。

そして時には誰か一人がその中からあぶれ、どこか別のグループへ移籍することも。

こんな経験、誰しもありますよね。

大局を見た時にはそれでいいのですが、その中では、各グループでいろいろなせめぎあいが起こっています。

派手で仲良しそうに見えるグループにも、おとなしく目立たないグループにも、そこに集っているのにはそれぞれ理由があり、その中でも微妙な関係性が築かれています。

外からは見えない、だけど確かにあるその微妙な心の動きを、この漫画では各個人やグループに焦点を当てて上手に表現されているなと感じました。

女子高出身者も納得の、「塔」という表現

私自身も中高一貫の女子高に通っていて、どこかのグループには所属していたいけど、どうにもグループの子と気が合わないとか、他のグループからハブられてた子が自分のグループに来たりなんてことがしょっちゅうありました。

まわりに合わせなきゃ明日の我が身も知れない、その状況を当時の私は「学校は学び舎ではなく戦場だと思ってる」と友人に発言するようなイタいやつでした。

でもそれは今思えばそんなに間違っていなくて、その戦場が漫画では「塔」として上下の空間を持たせることでわかりやすく表現されていたと思います。

ただ、私の場合はこういったドロドロの愛憎劇は中学生までで、高校生になってからはこういったことは落ち着いていたように記憶しています。

本当に大事なのはそんな上下関係ではないはずとみながわかっていながら、その塔を誰もが壊せない以上、その世界を生き抜くしかないというせちがらさを思い出させられました。

『17歳の塔』の楽しみ方

この作品は、今まさに学生さんで、人間関係に悩んでいる方にはもちろんおすすめですし、
大人になってから読んでも共感や勇気がもらえる作品だと思っています。

この10話の中に、必ず自分がいる。

自分はどのタイプだったかな~と思い出しながら読むのも楽しいのではないでしょうか。

多くの人はそんなドロドロした醜い経験を「消したい過去」にしてる人も多いと思いますが、この作品では「この小さな世界で生き抜こうとした」という部分にフォーカスを当て、綺麗でも醜いでもない、ありのままの体験として受け止めて前へ進もうとする女子高生を描いています。

恥ずかしい、消したい過去もあると思いますが、それはあなたが必死に頑張った証なのだと、認めてくれるメッセージのように感じて、私は元気をもらえました。

また、そうして過去を認めながらより良い生き方を求めて生きていくしかないんだ、と思わせてくれた理亜や小田島の生き方からは勇気をもらえました。

今の世の中が生きづらくて、少ししんどくなっている人にもおすすめです♪

『17歳の塔』を読むには

最後に、『17歳の塔』を読む方法について案内したいと思います。

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!!本ページの情報は2020年5月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。!!

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